曲がりネギは、全国各地で栽培されていますが、本場は宮城県仙台市です。仙台市では、曲がりネギを100年ほど前から作れています。曲がりネギの旬の時期は12月から2月頃で、冬季に収穫されたネギは甘味があるのが特徴です。
曲がりネギ栽培は、初めのうちは普通のネギと同じで真っ直ぐなネギのですが、一度収穫した後にネギを横に倒して再び土を被せるという独特の育て方をします。この不思議な栽培法で、きれいなカーブを描いた曲がりネギが出来上がります。
曲がりネギの育て方
曲がりネギは、もともとは真っ直ぐなネギですが、「やとい」と呼ばれる工程を行うことで曲がったネギになります。
育てたネギを収穫の2ヶ月ほど前になったら、一度土から抜き取ります。そして、畑の土を掘って傾斜をつけた土壌を作ります。この土壌を「うね」と言い、この「うね」の傾斜に抜いたネギを並べて、その上から土をかけます。
寝かせたネギは、太陽に向かって曲がりながら成長し、1ヶ月ほど経つと緑の葉の部分は直立します。
この一連の作業を「やとい」と言い、「やとい」をすることでネギの白い部分を長くなります。その結果、柔らかくて美味しいネギが出来上がります。
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曲がりネギと普通のネギの違い
ネギは太陽の光が当たらない部分が白く柔らかくなります。普通のネギの育て方は、ネギが成長するにつれて周りに土を盛り、ネギの白い部分を伸ばしていきます。
一方、曲がりネギは、ネギを寝かすことで、伸びた部分だけに土をかけて伸ばしていきます。曲がりネギは地表近くに根があるため酸素が十分に送られ、白い部分の成長がより促進されます。
曲がりネギと普通のネギの違いは育て方の違いなので、曲がりネギとはネギの品種名ではありません。いろいろなネギの品種で曲がりネギを作ることができますが、どの品種で作っても、真っ直ぐな普通のネギより曲がりネギの方が柔らかく育つ傾向があります。
ネギが甘くなる秘訣は冬の寒さです。気温が低くなるとネギは凍結を防ぐために体内に糖分をたくわえるので、寒くなるほどネギの甘みが増すのです。鍋料理に曲がりネギを入れると、中身がトロトロに柔らかくなって、じんわりとした優しい甘味を味わうことができます。
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曲がりネギはなぜ曲げるの?
仙台市の曲がりネギは余目(あまるめ)地区が発祥と言われています。この地域はもともとネギ作りに適した土壌ではなく、粘土質で硬く排水が悪い地質をしています。
ネギは深く根を伸ばすので、水はけの悪い土地では根腐れを起こしてしまいます。さらに、この地域では、地下水位が高いためネギの栽培に不向きでした。
このような土地でも、なんとか美味しいネギを作りたいと思い立った地元の農家が、明治時代にネギを寝かせて栽培するようになり、曲がりネギが誕生しました。
現在では、曲がりネギを仙台市以外でも栽培されており、秋田県や福島県、栃木県、長野県などでも生産しています。なかには、仙台市と同じように、土壌がネギの栽培に適していなかったために、曲がりネギ栽培を行うようになったという地域もあります。
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