「せとか」「はるみ」「麗紅(れいこう)」「清見(きよみ)」は、ミカンとオレンジを交配したハイブリッド品種です。これらは、異なる品種を掛け合わせたことによって、それぞれの味や皮の厚み、種の有無、流通時期などに違いがあります。本記事では、「せとか」「はるみ」「麗紅」「清見」の違いを分かりやすく解説していきます。
「せとか/はるみ/麗紅/清見」の違い
国産初のタンゴール品種「清見」
「せとか」「はるみ」「麗紅」「清見」の違いを語る上で、まず初めに知っていただきたいことは、「タンゴール」と呼ばれる柑橘類の種類についてです。
「タンゴール」とは、ミカンとオレンジを交配して作られた柑橘類の総称で、ミカンを表す「タンジェリン(tangerine)」の「tang」と、「オレンジ(orange)」の「or」を組み合わせた造語を名前にしたものです。
つまり、「タンゴール」はオレンジとミカンを掛け合わせた、全く新しい柑橘類というわけですが、このタンゴールの品種として日本で初めて作られたのが「清見」です。
「清見」は、宮川早生(温州みかん)とトロビタオレンジを交配して作られました。「清見」はオレンジのように厚く硬い外果皮を持ちながらも内皮はミカンのように薄く柔らかいのが特徴です。果肉はオレンジのような粒状ですが、種は無くみかんのように食べやすい。
オレンジの香りと果肉、ミカンの甘さと食べやすさ、それぞれの良いところを受け継いでいるのがタンゴール品種の「清見」の魅力です。「清見」の流通期間は3月下旬から6月下旬になります。
1979年(昭和54年)に「清見」が農林認定品種として登録されて以降、「清見」を祖として「せとか」「はるみ」「麗紅」など、様々なタンゴール品種が作られてきました。「清見」の酸味が弱く甘味が際立った味わいは、「せとか」「はるみ」「麗紅」にも受け継がれる共通の特徴です。次では、「清見」を基準として「せとか」「はるみ」「麗紅」の特徴の違いについて解説していきます。
清見
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高糖度の品種「せとか」
「せとか」は、「清見」とアンコールオレンジを掛け合わせたもの(口之津37号)に、さらにマーコットオレンジを交配して作られました。
アメリカ産のアンコールオレンジとマーコットオレンジは、どちらも高糖度な品種なので、これらの特徴を受け継いだ「せとか」は、格別な甘さが魅力です。
「はるみ」「麗紅」「清見」も甘い品種ですが、これらと比べても「せとか」は最も甘いという違いがあります。「せとか」は、もとになった「清見」と比べて、外果皮が薄く柔らかいので、皮を剥きやすいという違いもあります。「せとか」は種が無く内皮も薄いので、とても食べやすい品種になっています。「せとか」が品種登録されたのは2001年(平成13年)のことです。「せとか」の流通時期は2月上旬から4月中旬になります。
せとか
せとかの姉妹品種「麗紅」
「麗紅」は、「清見」にアンコールオレンジを掛け合わせたもの(アンコールNo.5)に、さらにマーコットオレンジを掛け合わせて誕生しました。「せとか」は口之津37号、「麗紅」はアンコールNo.5という系統違いの柑橘類を交配に使用しているので、「せとか」と「麗紅」は姉妹品種になります。
「麗紅」は糖度が高かったり、外果皮と内皮が薄く種が無いので食べやすいなど、「せとか」と似たような特徴を持っています。「麗紅」と「せとか」の違いは、「麗紅」は甘味と酸味が調和したバランスの良い味わいで、「せとか」は糖度が非常に高いのが特徴です。
佐賀県では、糖度12.5度以上、酸度1%未満という基準を満たした「麗紅」を「はまさき」というブランド名で販売しています。「麗紅」は品種名で、「はまさき」は佐賀県のブランド名という違いです。
「麗紅」が品種登録されたのは2005年(平成17年)のことです。「麗紅」の流通時期は2月上旬から3月下旬になります。
はまさき(麗紅)
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清見とポンカンから誕生した「はるみ」
「はるみ」は、国産初のタンゴール品種の「清見」と、インドのスンタラ地方原産のポンカンを掛け合わせて作られました。「清見」にポンカンを交配させることによって、外果皮が薄く柔らかくなり、甘味が増加したのが「はるみ」の特徴です。ただし、ポンカンは種が多いため、その特徴を受け継いでしまった「はるみ」も少しだけ種があります。
ですから、種の無い「せとか」「麗紅」「清見」と比べて、「はるみ」だけ種が少しあるという違いになります。「はるみ」が品種登録されたのは1999年(平成11年)のことです。「はるみ」の流通期間は2月上旬から3月下旬になります。
はるみ
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