ひき肉は、ハンバーグやミートソース、マーボー豆腐、ギョーザなど、様々な料理に使われるとても身近な食材です。しかし、ひき肉がどんな肉から作られているのかを、詳しく知っている方は少ないのではないでしょうか。
中には、ひき肉は肉を細かくしているので、粗悪な肉が混ざっているのではないかと疑いがある方もいらっしゃるかもしれません。ところが、ひき肉には、ある特別な部位の肉が使用されているのです。
ひき肉は何肉?どこの部位からできているの?
代表的なひき肉の素材は豚肉ですが、豚肉の部位には、豚の肩の部分の肉の「肩ロース」、豚の背中の部分の肉の「ヒレ」や「ロース」、豚の後ろ足の部分の肉の「モモ」、豚の腹の部分の肉の「バラ」などがあります。
それぞれの部位ごとに名前をつけて販売されていますが、これらとは違った豚の前足の部分の「ウデ」の肉がミンチになって、豚ひき肉の主な材料になっています。
豚肉を丁度良い大きさに切り分けていると、どうしても端の方が余ってしまうことがあります。ロースやモモなど、その他の部位の端っこの肉を切り落とした部分も、豚ひき肉としてミンチにして混ぜています。
ひき肉になる部位の大まかな割合は次のとおりです。
ウデ・・・80%
モモ・・・10%
バラ・・・5%
ロース・・・3%
ヒレ・・・2%
※ひき肉にウデ肉を使う割合は、店舗や販売状況により異なる場合あります。
ですから、ひき肉は何肉?という問いの答えは、ほぼウデ肉ということになります。どこの部位からできているのかというと、ひき肉には、いろいろな部位の肉が使用されていますが、圧倒的な割合でウデ肉をミンチにして、ひき肉はできているのです。
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ウデ肉が部位のなかで最も旨味成分が多い
豚肉は部位ごとに特徴があります。たとえば、モモは脂が少なくさっぱりした味わいで生ハムなどに使われます。
ロースは肉質が柔らかく脂もあるのでトンカツなどに使われます。バラは脂が多い部位で角煮やベーコンなどに使われます。
それぞれの特徴があるなか、ウデ肉はミンチにすると最も美味しいと言われます。うま味成分の代表的なものはグルタミン酸ですが、豚肉の部位の中で最も多くグルタミン酸を含んでいるのがウデ肉です。
牛や豚は歩く時に前足をよく使い、よく使う筋肉はそれだけ傷みます。傷んだ筋肉を修復するために使うのがグルタミン酸などの遊離アミノ酸です。
豚のウデ肉には、グルタミン酸をはじめ、うま味成分のアミノ酸が多く含まれているので、美味しくジューシーな味わいになるのです。そんなに美味しい肉なのに、ウデ肉は他の部位に比べて安い値段で購入できます。
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ウデ肉がそのままの部位で販売できない理由
うま味成分たっぷりのウデ肉ですが、なぜモモやロースのようにそのままの部位を切って販売できないのでしょうか。その理由は、ウデ肉にはスジや脂が点在しており、食べにくいスジを取り除くのが大変で手間がかかるからです。
たとえば、ウデ肉のスジを取らずに、そのままステーキにした場合は、とても硬くて噛み切れない肉になってしまいます。そのため、ウデ肉は細かくひいてしまったほうが、手間がかからず美味しくいただけるのです。
牛のひき肉も前足の部分の肉が多く使われている
牛の前足の肉は「スネ肉」と呼ばれることがあります。よく動かす場所なので旨味成分が豊富に含まれていますが、牛の場合も豚と同様に肉が硬いのが特徴です。
それでも、牛ひき肉にしてしまえば食感が柔らかくなり、脂の比率もコントロールできるので、美味しくいただけます。
ひき肉は、他の部位と比べて安く買うことができ、ウデ肉やスネ肉が主材料なので旨味成分もたっぷりです。さらには、細かくミンチにすることで、硬い肉というマイナス要素を解消しているという食の知恵が詰まった食材なのです。
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