静岡県袋井市のご当地グルメ「たまごふわふわ」は、その名の通りふわふわ食感の卵料理なのですが、実はこの料理の起源は江戸時代までさかのぼります。本記事では、「たまごふわふわ」の歴史と、袋井市名物「たまごふわふわ」の特徴について紹介します。
「たまごふわふわ」の歴史は?起源は江戸時代から!
「たまごふわふわ」の歴史については、古くは江戸時代の寛永3年(1626年)後水尾天皇が二条城に行幸した際の献立にも記載されていますが、「たまごふわふわ」のレシピが載っているのは、寛永20年(1643年)に発行された「料理物語」です。
「料理物語」には「たまごふわふわ」の作り方について、溶いた卵にだし汁、しょうゆとさけを加えて固くならないように蒸かすと記されています。
料理物語
もともと「たまごふわふわ」は、1626年京都二条城にて将軍家の饗応料理としてふるまわれた、いわゆるセレブ料理だったのですが、次第に旅先の宿でも提供される全国的な料理となっていきます。
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空前の旅ブームだった江戸時代では、武士や豪商が多くの旅日記を残しており、大阪の豪商「升屋平右衛門」が1813年に記した旅日記「仙台下向日記」には、袋井宿の大田脇本陣で食べた朝食で、「たまごふわふわ」と思われる「皿 玉子 ふわふわ」という記述が残っています。
この記述から江戸時代の文献をもとに再現したのが、静岡県袋井市のご当地グルメ「たまごふわふわ」です。ですから、「たまごふわふわ」は、袋井市で古くからずっと食べられてきた歴史ある郷土料理というわけではないのです。江戸時代のふわふわの卵料理は全国的に食べられていたと考えられています。たとえば、秋田藩の宇都宮孟綱の旅日記「旅中日記」では、古河の宿で出された朝食で「玉子ふわふわ」という記述が残っています。
袋井市名物「たまごふわふわ」はふわふわ特化!
寛永20年(1643年)発行の「料理物語」によれば、ふわふわの卵料理に、イナ(ボラの幼魚)の胃や、鳥の内臓(特に砂肝)を入れたものを「野ぶすま」と言って珍重したとされています。(野ぶすまは、アワビを用いた他の食べ方もあります。)
つまり、江戸時代のふわふわの卵料理では、柔らかい卵と歯応えのある具材の食感の違いを楽しんでいたと思われます。
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一方、袋井市名物「たまごふわふわ」は、町おこしのために江戸時代の卵料理を再現したものなので、現代の観光客のニーズに合わせて、ふわふわ食感に特化して作られています。袋井市名物「たまごふわふわ」には、魚の内臓などの具材は使われておらず、卵と出汁、各種調味料のみで調理されています。
袋井市名物「たまごふわふわ」は、鰹節や昆布でとった出汁を薄口醤油やみりんなどで味付けしてから卵を加えて、泡立て器でクリーム状になるまで混ぜ合わせます。それを鍋に入れて蒸すと、ふわふわの卵料理が出来上がります。
「たまごふわふわ」は、鰹節や昆布からとった和出汁が、ふわふわの卵と混ざり合っているので、茶碗蒸しのような味わいになります。
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