滋賀県の琵琶湖の北に位置する長浜市周辺では、古くから「鯖そうめん」という郷土料理が食されてきました。鯖そうめんとは、その名の通り素麵に煮込んだ焼き鯖をのせた料理です。それでは、なぜ滋賀県の内陸地で、海の幸である鯖を使った郷土料理が食べられるようになったのでしょうか。本記事では、滋賀名物の鯖そうめんの特徴と発祥について紹介します。
滋賀県「鯖そうめん」は汁が無い
一般的なそうめんは、麺が汁に浸っているものですが、滋賀名物の鯖そうめんには汁が無く、そうめん自体に甘辛い味が付いているのが特徴です。
鯖そうめんの作り方は、まずは焼いた鯖を醤油やみりん、砂糖などで味付けした出汁で、柔らかくなるまで煮込みます。素麺は、焼き鯖を煮込んだ汁につけて、味を染み込ませていきます。甘辛く煮込んだ焼き鯖の旨味が染み込んだ素麺に、柔らかく煮込んだ焼き鯖をのせたら、滋賀名物の鯖そうめんの完成です。
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濃いめの味付けで煮込んだ鯖そうめんは、ご飯が欲しくなる味です。地元では、鯖そうめんをご飯のおかずとして食べるのが一般的です。
内陸県の滋賀でなぜ鯖の郷土料理？
滋賀県は内陸地なのに、なぜ鯖を使った郷土料理が古くから食されているのでしょうか。もちろん、琵琶湖で鯖はとれません。
実は古くから福井の日本海沿岸で獲れる鯖などのたくさんの海産物、これを京の都へ運ぶルートを「鯖街道」と呼ばれ、滋賀県の北西から南へつづき、そして京都へと繋がります。湖北地域はその鯖街道に近かったため、昔から鯖が手に入りやすかったのです。（引用元：食事処みちくさWEBサイト）
福井県の若狭湾に面した地域から、京都を結ぶ鯖街道は一本道ではなく、海産物を運ぶ幾本もの街道や峠道を、総称して鯖街道と呼んでいます。
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なぜ滋賀県の北部で鯖そうめんが食されているのかは、福井県の鯖街道に近かったことが理由になっています。現在でも福井県から滋賀県に鯖を取り寄せて、鯖そうめんを提供している飲食店も少なくありません。
滋賀県の琵琶湖の北に位置する地域は米作りが盛んで、「5月見舞い」といって農家に嫁いだ娘に、春の農繫期に親が焼き鯖を贈る風習がありました。保存がきいて栄養が豊富な焼き鯖は、農作業の忙しい時期に手軽に食べられる料理として重宝されていました。そういった環境が、古くから鯖そうめんが愛され続けている理由の1つと考えられています。
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