新鮮なリンゴは、みずみずしくシャキシャキした食感が味わえますが、収穫から日が経ったリンゴは、もさもさした食感に変わっていきます。リンゴがもさもさ食感になった状態を「リンゴがぼける」と言うことがありますが、実はこの表現は方言だということをご存じでしょうか。本記事では、リンゴの食感がもさもさになる原因について紹介します。
リンゴの食感がもさもさになる原因
リンゴなどの果実は、植物ホルモンの一種である「エチレンガス」の作用によって成熟していきます。リンゴはエチレンガスを分泌することで、実が色づき甘くなっていくのですが、完熟した後もエチレンガスの作用を受け続けると腐敗が進んでいきます。
エチレンガスが果実に与える効果は、「果実の呼吸量の増加」「糖分の増加」「果実の着色や軟らかくなる」などです。リンゴの果実は、木からもぎ取られた後も呼吸を続け、呼吸とともに水分が蒸発し、果実の水分量が減っていきます。エチレンガスの作用で果実の呼吸量が増加すると、木からもぎ取られたリンゴは水分補給ができない状態で、さらに水分が失われていきます。このように、リンゴは熟し過ぎることが原因で、果実内の水分が失われた結果、もさもさした食感に変化していくのです。
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リンゴは、品種によって収穫からの賞味期限が異なるため、もさもさ食感になりやすいリンゴの品種と、もさもさ食感になりにくいリンゴの品種があります。
リンゴは、収穫時期によって「極早生種(あおり11,夏緑 など)」「早生種(彩香,つがる など)」「中生種(北紅,北斗 など)」「晩生種(ふじ,星の金貨,王林 など)」の4つに分けられ、早生種よりも晩生種の方が賞味期限が長く、もさもさ食感になりにくい傾向があります。
「リンゴがぼける」は方言?
読者の皆さんは、「リンゴがぼける」という言葉の意味をご存じでしょうか?実は、この表現は地域によって使われる方言なのです。
リンゴがぼけるとは、水分がなくなって、もさもさした食感のリンゴのことを言います。この言葉は、青森県や長野県、岩手県など、リンゴの生産量が多い地域、あるいはリンゴの産地と近い東日本で使われる方言で、西日本ではほとんど使われていません。
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日本語の「ぼける」には、鈍った状態を表す意味があります。リンゴを食べる機会が多い地域ほど、リンゴの食感の変化について話す機会が多かったため、日常的な言葉の中から、もさもさした食感に近しい言葉を使うようになったのかもしれません。
新鮮なリンゴとぼけたリンゴの見分け方は、リンゴを指で軽く叩いてみて、低い音でボクボクと鳴る場合は、日が経って水分量が少ない、ぼけたリンゴの可能性が高いです。
リンゴを長持ちさせる保存方法は、まずはリンゴをキッチンペーパーや新聞紙などで包み、さらにビニール袋やラップなどで包み込んで水分の蒸発を防いだ状態にしてから、冷蔵庫で保存します。日が経ってもさもさ食感になってしまったリンゴでも、食べやすい大きさにカットしてから冷凍庫に入れておくと、アイスに似た食感のスイーツになります。または、ぼけたリンゴをジャムにしても美味しくいただけます。
長野県産リンゴ
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