和歌山県民のソウルフードである「和歌山ラーメン」では、ラーメンと一緒に早寿司(押し寿司の一種)を食べる習慣があります。それでは、なぜ和歌山ラーメンと一緒に早寿司を食べるのでしょうか。また、和歌山ラーメンは、車庫前系と井出系に大別され、それぞれの系統で特徴が違います。まずは、和歌山ラーメンの発祥や特徴について確認していきましょう。
和歌山ラーメン「車庫前系」と「井出系」の特徴の違い
和歌山ラーメンは、大きく分けて「車庫前系」と「井出系」があり、それぞれの特徴が全く違います。どちらの系統も麺はやや縮れ気味のストレート麺で、具材はチャーシュー、かまぼこ、メンマ、ネギなどシンプルなものですが、車庫前系と井出系では味付けが違います。
一つは、醤油系。和歌山市内の中心部を走っていた路面電車の停車場に軒を並べていた屋台を発祥する味。二つ目は、豚骨醤油系。(引用元:和歌山市観光協会公式HP 食べる(和歌山中華そば・ラーメン)
和歌山ラーメンの発祥は、戦後間もない頃に和歌山市内を走っていた、路面電車の南海和歌山軌道線の車庫前駅周辺で営業していた、「〇髙」という屋台のラーメンが始まりでした。この系統を受け継いでいるのが、「車庫前系」と呼ばれる和歌山ラーメンです。
車庫前系はあっさりした醤油味が特徴です。いわゆる昔ながらの中華そばといった、どこか懐かしくなるような素朴な味わいです。
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そして、「井出系」と呼ばれる和歌山ラーメンは、まろやかで味に深みのある豚骨醤油味が特徴です。井出系は、その生みの親である「井出商店」が名前の由来になっています。
もともと井出商店の和歌山ラーメンも、車庫前系の味を受け継ぐあっさり味だったのですが、偶然に煮詰め過ぎてしまったスープが美味しかったため、それをきっかけに独自の豚骨醤油味の和歌山ラーメンを生み出しました。
井出商店の全国的な知名度により、和歌山ラーメンは豚骨醤油味として広く認知されていますが、地元では醤油味が主流です。和歌山県民は和歌山ラーメンのことを、通常は「中華そば」と呼んでいます。
また、店舗によっては、車庫前系と井出系のどちらにも当てはまらない、新たな特徴をもった和歌山ラーメンを提供するお店も存在し、各店舗が独自の和歌山ラーメンを展開しています。
和歌山ラーメンはなぜ早寿司を食べるの?
和歌山ラーメンの店舗の大半は、テーブルに早寿司(はやずし)やゆで卵などが常備されており、注文したラーメンが届く間に早寿司などを食べながら待つという習慣があります。早寿司とは、鯖と酢飯をあせの葉に巻いて木枠に詰めた、押し寿司の一種です。
それでは、和歌山ラーメンはなぜ早寿司を食べる習慣があるのでしょうか。そもそも日本には、うどんやそばと一緒に寿司を食べる習慣が昔からあり、それを和歌山県ではラーメンに展開したのではないかと考えられます。ただし、和歌山ラーメンと早寿司を一緒に食べることが、いつ頃、どこの店舗で発祥したのかは分かっていません。
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たとえば、コンビニで売っているそばに、いなり寿司が付いている商品を見掛けたことはありませんか。日本人は、江戸時代から屋台でうどん、そば、寿司を気軽に食べる食文化があるので、麺類と寿司を一緒に食べることはそれほど珍しいことではありません。
しかし、和歌山県のようにラーメンと一緒に寿司を食べることは、全国的にも類を見ないものです。和歌山ラーメンでは、早寿司の他にも巻き寿司やいなり寿司などが、テーブルに常備されている店舗があります。これらは無料ではなく、自己申告制で会計の際に食べた分の代金を支払うシステムになっています。
井出商店 和歌山 ラーメン(3人前)
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